SSブログ

膝関節後方アプローチ [整形外科&スポーツ医科学]

今日は大人の階段を一つ登ってきました。
題名にもあるとおり、初めて膝の真後ろを展開したんですよ。


手術で体の奥まで進入する際の基本的なやり方というのは、重要な血管や神経を傷つけないように、
そういったものがない場所から皮膚や筋肉を分けていくというのが王道の方法です。
膝の裏には膝窩動静脈、脛骨神経という、
『切ったら終わり(実際には終わらない、てか、終わってたまるか。縫合手術をします。)』
的な、非常に太くて大切なものがあります。


膝の内側から中央部に関しては、これらの血管神経束は全く問題になりません。
膝の内側からふくらはぎの筋肉(腓腹筋)を中央にずらすようなアプローチをすることで、
これらの神経血管束は筋肉ごと保護して、安全に手術を行う事ができます。


今まで自分が当たった症例は、ほとんどこれらのやり方で対応できました。
後十字靱帯の骨折の時はBurksのアプローチだし、後内側の脛骨骨折の時はGeorgiadisのアプローチだし、
後外側をガッツリ開けなくてはならないようなバラバラの脛骨骨折には当たったことがないし・・・


ただ、膝の後外側や大腿骨の後顆にアプローチする際には、そういう訳にはいかないんですよね。
後外側の整復を要する脛骨骨折や大腿骨後顆&ACL大腿付着部のOCD、その他腫瘍性疾患の場合には、
前述の方法は使えず、膝の後方をしっかり開けなくてはなりません。


そんなわけでやむなく、血管神経の直上から入って、危ないものを丸出しにして手術をしました。
初めてだし、緊張しましたね~。

もちろん、やってみればそんなに難しいものではないのですが、
傷つけてはいけないものが視野のそこかしこにあるというのは、非常に落ち着かない物でしたね。
そう考えると、心臓、脳をはじめとする各種外科の先生は、常にこういったストレスにさらされてるわけで・・・
ホントにお疲れ様です。


病巣に対する視野もしっかり確保できましたし、処置も予定通りの事ができたので、大満足の手術でした。
膝窩動脈から分枝する血管も、1本は結紮しなくちゃかな・・・とイメージしていたのですが、
何気に温存できたので、もしかしたら100点満点以上の手術と言えるかもしれません。


病院から帰ってきて、風呂に入ったらいつのまにか寝てしまってました。
気疲れしていたのでしょうね(ノ_・。)

最後に!
もし、『ググって』(そんな医者、いるかね!?)、この記事を読んでくれた、
同じような手術を控えている整形の先生がいらっしゃったら、一つだけアドバイスを・・・


外側寄りを展開する場合、腓骨神経が意外と近くにありますので気を付けてください!


自分は外側凹のカーブで皮切&筋膜を切開したのですが、何気に自分のイメージよりもかなり近かったので。



さて、
明日は敷島でJ2の最終節が開催されます。
手術が終わってPCを開いたら、契約に関するリリースがいっぱい!
全く予想外の物もあったりして、メチャメチャ驚きました。


いずれにせよ、今のチームは最高ですし、そのチームで戦えるのはあと1試合しかないというのも事実です。
来シーズンも更にいいチームになるためにも、最後は勝って終わりたいです。
自分も気合をいつもの3割増しにして、一緒に戦って来よう。
nice!(0)  コメント(3)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 3

はや

先生、こんにちは。

私の膝の裏(裏の外側)に、鼠がいます…他にも膝のあちこちにいくつかの遊離体がいます。
昨年も遊離体の手術をしていますが、また遊離体が出来てしまいました…。挟まるときもあり、主治医の先生と手術を考えています。でも、主治医の先生は膝の裏の鼠はとれないと言っています。
個人的には今ある鼠を取り除いて欲しいと思っていますが膝の裏の鼠を取るのは困難なのでしょうか?
私の膝は、20年前にACL再建、外側半月板はほとんど切除しています。現在は外側の変形が酷く、痛みも強く、可動域も狭くなり、生活に不便を感じています。
現在37歳で、まだ先の人生長いですし、今後、どうなるのか不安です…。
わかる範囲内でアドバイス頂けたら嬉しいです。よろしくお願いしますm(__)m
by はや (2015-10-08 08:39) 

simimasa

はやさま
コメント拝見致しました。膝関節の裏側にある遊離体については、たしかに取ることが難しいケースも多いです。ただ、後内側と後外側に関節鏡の刺入孔を作成して、裏側のものを取るということも技術的に可能とはなってきています。ちょっと難しい手技にはなりますが…関節鏡を多くやっている施設であれば、現在では一般的な手技になりつつあります。必ず取れることを保証するものではありませんが、相談されると良いかもしれません。

その反面、「遊離体が挟まる」ということは、関節後面の滑膜や靭帯に巻き込まれて見えなくなっているというわけではなく、必ず関節の袋の中にあるということですから、後ろが見えなくても関節腔内に灌流液を充填させることで、前方に出てくるケースも多い!というのが個人的な印象です。後内外の刺入孔を作るつもりで意気込んでいたら、前からあっさり取れてしまったということも、よくあります。

このように、遊離体というのは術前の検査や症状と比べて実際の手術の振れ幅が大きい疾患だと思います。それを心に留めて、担当の先生とお話されると色々と理解が進むかと思いますよ。
by simimasa (2015-10-08 20:59) 

はや

先生、ありがとうございます。

なかなか主治医の先生には聞きずらい事もあり、また何を聞いていいのかもわからないと言うこともあり、simimasa先生のご意見、本当にありがたいです。
次の受診時には、今までとは違う感じで主治医とお話しできそうです(^^)
本当にありがとうございました!
by はや (2015-10-09 23:39) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

〇〇世代おつかれさんでした ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。