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治療〜リハビリと患者さんのニーズ〜背景 [整形外科&スポーツ医科学]

ウチの病院ではハイレベルスポーツ選手が治療に来ることがありますが、
その影響もあり、中高生やスポーツ愛好家から、
「スポーツ選手と同じような治療をやって欲しい」
という要望をいただくことがあります。


もちろん、診察の手順や検査、手術の内容には、実際のところほとんど差は無いですね。
でも、その中で差がつくとすると、
① 患者自身の運動能力や筋力
② 患者背景
という2つの要素が、大きな原因になっていると僕は思っています。


自分が専門でやっている膝の前十字靱帯損傷を具体的な例に挙げるとすると、
ハイレベルスポーツ選手では術後の大腿四頭筋・ハムストリングの筋力回復や、
膝関節のコーディネーション能力の回復が早い事に加え、
もともとの股関節〜体幹筋力レベルが高くて股関節可動域も大きいために再受傷リスクも低いことから、
再建靭帯の強度が得られる6ヶ月以降に、可及的早期の復帰ができているのではないかと思います。


それに対して、部活レベルの学生やスポーツを趣味とする社会人くらいだと、
筋力が劣っていたり、関節可動域やコーディネーション能力も低いなど、
受傷の原因からして身体能力の欠如?相対的な低下??がある場合が多いです。
当然、同じ手術をしてもそれらの要素をリハビリで潰していかなくてはいけないので時間が掛かるし、
スポーツ選手のように毎日をリハビリに捧げられる人はいませんから、
トレーニングの時間もトップ選手に比べると少なくなってしまいます。


また、早期復帰というのは「再受傷」というリスクをある程度負う事が多いです。
スポーツを生業にしている人であれば高いリスクを負わなくてはならないという背景がありますが、
一般の人やジュニア選手にそこまでの高いリスクを負わせるべきかというと…ね。f^_^;
余程の事情や覚悟がある場合を除き、ある程度再受傷リスクが低くなる時期や状態に持って行ってから、
スポーツ復帰をさせるというのが普通ではないでしょうか。


ハイレベル選手によっても、種目や契約の違いで背景が変わってくるのではないかと予想できます。
プロ野球は試合に出なくとも年俸が12分割?されて支払われますが、
サッカーは基本給+出場給&勝利給。
となると、当然サッカー選手の方がリスクを負ってもより早期の復帰を望むことでしょう。
スキーなどのシーズンスポーツでも、ある程度リスクを負ってでも早期復帰する場合があります。


もしあなたが、スポーツ選手と同じ治療プロセスをを熱望されるのであれば…
・早期復帰を目指す「理由」がはっきりとしている事を医師に伝える
・リスクがあることを理解でき、それを回避する努力をする
・スポーツ選手ばりに術後のリハビリ・トレーニングをやりとげる

この3点を医者と理解し合えれば、きっと誰でもアスリートばりの復活劇を起こせることでしょう。
要は患者さんの熱意と努力が一番重要なファクターだってことです。
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