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ACL損傷集中講座 10コマ目 【早期復帰への試み】 [膝前十字靭帯(ACL)損傷]

長々と続けてきた連載も、あと2回!
今日は、トップアスリートに対する早期復帰を目指した医者サイドの試みについて書きます。

術式や再建材料を変えることによって早期復帰ができるような術式や再建靭帯は、
残念ながら今のところありません。
ただ、移植靭帯を早く骨孔に癒合させたり、効果的な筋力の回復による
早期スポーツ復帰というのは可能であると思います。
(ただ、最低限3~4ヶ月経たないと靭帯と骨が完全に結合しないので、
それより早い復帰はあまりお勧めできません)

俺が過去に経験したリハビリテーションの工夫は、以下の二つです。
術後超早期(1ヶ月以内)のものに限らせていただきます。

①電流による筋刺激(EMS)
これは、膝関節を動かすことなく筋線維に直接電気刺激を行って、
筋肉の萎縮を防いだり、筋力の増強を図るというものです。
商品名で言うと、CompexとかV-TRONとか。。。
術前、術後を問わずにいつでも使える器具です。
ただ、ACL再建のリハビリにおいてこの効果を検討した論文は、英文でもまだ出ていません。
ですので、効果があるかどうかはなんともいえないところです。

ただ、EMSを経験した方なら、
「きっと少しくらいは効果があるんじゃないかなぁ」
と、思う事でしょう。(俺もそう思います)
そこで現在、自分がACL再建手術を施行した患者さんの中でCompexの効果を検討しています。
そのうち学会で発表できるかな!?とは思っております。

この機械の良いところは、関節を動かさず・負荷をかけずに周囲の筋肉を鍛えられると言う事です。
可動域が充分でなかったり、スクワット等の運動ができない時期でも使えますね。

もちろん、術前に筋力を落とさないようにしておかないといけないのは
アスリートにとっては最低限の仕事であると言う事は、言うまでもありません!

②高圧酸素療法(HBO)
通常の空気中にある酸素濃度は約20%ですが、これを100%に近い酸素濃度の状態にした、
酸素だらけのカプセルの中に入り、さらに圧力をかける(2~2.3気圧)事によって、
血液中に酸素を溶かし込んでやり、組織内の酸素分圧を上げるという治療法です。
(化学で勉強したボイル・シャルルの法則です。覚えてますか!?)
組織内の酸素が多くなると、組織の修復が早まるという効果を狙っています。

有名なケースとしては、イングランドのD.ベッカム選手が、
ワールドカップ前に中足骨骨折をした時、骨癒合を早めるために使用した例が挙げられます。

組織に酸素を多く供給する事で、再建靭帯組織の回復を早め、
靱帯内の膠原線維を太くすると共に、bone-tendon healingも早めて、
結果として靭帯と骨の結合を強くする効果があると言われています。
(ただ、ヒトで研究した論文はなく、ウサギの成績しか出てないけどね。。。)

確か、今月号のSKI GRAPHICにも記事があったかな。
東芝病院の先生が出ていた気がします。
ちなみに、ハンカチ王子でブレイクした疲労回復のための「酸素カプセル」と、「高圧酸素」は
加圧の有無という点が異なります。
カプセルの場合、ほぼ1~1.2気圧です。
高圧酸素療法は、医師と技師の管理下に、病院でしか受けられません。

上記のいずれも、実際にアスリートが治療前後に行っていますので、
詳細は彼のBlogを見て下さい。
アドレスはこちら⇒ http://yasuhiko0418.seesaa.net/
渡辺靖彦選手です。
3月から4月前後の記事に、詳細が詳しく載っています!

最後の最後で人任せにしてしまって、すいませんY(>_<、)Y

Compexは自分も経験しているのですが、高圧酸素は入った人しかわからない感覚があるので。。。
Yasu君の記事には、すごく詳しく感想等が書いてありますので、参考にしてみてください。
非常に分かりやすいと思いますよ。

~つづく~
※本記事内に掲載された文章及び写真の無断転載を禁じます


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