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日本整形外科学会 ACLあれこれ [膝前十字靭帯(ACL)損傷]

さて、先週末の日整会で僕が聞いてきたACLセッションでのいくつかのこぼれ話・・・

Dr.Fuの口演では、技術的にはそれほど目新しいものは無かったです。
ただ、トラ、ゴリラ、マントヒヒ、クマなどのいろいろな動物のACL再建を行い、
(もちろん、ケガをした動物園にいる飼われてる動物ですよ!)
動物固有のACLの形態を分析する事で、基礎的な研究に役立てていたというのは、凄かったっス。

あとは、最近欧米でもあまりにも早すぎるリハビリはどうなのか!?と言うのが問題になっているそう。
アメリカでは施設によって、日本の半分以下(4ヶ月程度!)でスポーツへの完全復帰を許しているそうですが、
今回いらっしゃった先生は、それについては疑問視しておりました。
特に死体からの移植(アログラフト)を受けた場合、自分の筋健を使用するより靭帯と骨との癒合が遅れます。
にも関わらず早期のリハビリテーションをやるようなケースに対しては、かなり否定的でしたね。

2ルートとその他(シングル、BTB法)の使い分けについては、まだまだディスカッション中です。
とは言っても今の段階では、学会で有名な施設のほとんどのDr.の術式を聞いていると、
主流はハムストリングの2ルートであることは間違いありません。
どんなケースにあえてシングルを用いるかとか、
従来のBTB法とは異なる、解剖学的BTB再建についてのディスカッションですね。

個人的には、解剖学的なBTB再建に最も注目しています。
2年前、日本のACLを牽引していると言っても過言ではない(^▽^笑)、大阪在住の某S先生が
この方法を紹介していて、それを聞いた瞬間、まさに雷に打たれたような衝撃を受けました。
この2年で僕自身のサージカルテクニックも少しずつ基本のBTB法から解剖学的なやり方に近づけてきており、
その患者さんたちの良好な経過を見ていて、かなりの手ごたえを感じています。

特にこの春、僕が再建したジュニアのスキー選手達がいろいろな理由でBTBでの再建をすることになり、
僕自身としては切り札を切るような気持ちで、この方法に限りなく近いやり方の手術をしたのです。

今回の発表で聞いたところ、解剖学的BTBの患者さんたちの成績は非常に良かったので、
彼らの経過も非常に楽しみにしています。
ある意味、この2年間の僕の集大成!?になるわけですからね・・・
・・・サロモン高校生コンビのお二人、マジで今シーズンはイイ成績を頼みますよ(笑)


ちなみに、一般の方にはなじみが無いかと思いますが、現在ACLは3ルート再建まで進化しています。
技術的には2ルートよりも多少難しいのですが、2ルートの再建をバンバンやっている施設のDr.なら、
全く問題なくできる技術レベルのオペですので、ある程度問題点が明らかになり、成績が落ち着いてきたら、
今後、全国に広まっていく可能性があると思います。

実は正直なところ、僕自身も3ルートACL再建術の手術経験はあり、良い感触も得ています☆v(^ー^)☆
ただ、まだ自分の患者さんに自信を持って勧められるだけのエビデンスがないのと、もう少し思う所もあるので、
ウチの病院ではやっていません。

そういったタイミングと言うのが、非常に難しいんですよね。。。
新しければイイってもんでもないので。
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