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手術のモディファイ [病院&医者の話]

表題にあるとおり、今日は昨年の10月以来となる、なんとなんと10か月ぶりに、
人工膝関節置換術(TKA)をやりました。
6月から働き始めて以来、別に避けてたわけではないのですが・・・なんかめぐり合いがなかったんですよね。
とは言え、浪人期間中に色々な施設で勉強させて頂き、自分の術式をかなり大きくモディファイしていたので、
なんだか別の手術をやってる気がしました。

まぁ、非常にマニアックな話になるのですが、

・Modified gap techniqueでの骨切り&バランシング(今までは解剖学的指標を参考にDependent cut)
・ほぼ全例でMobile Bearing Insertを使用(FixedとMBが症例により4:6くらいの割合だった)
・膝蓋骨の置換(代えてなかった)

あたりが大きな変更点でしょうか。
わかる人にはわかる、非常に大きな変更だと思います。
もちろん、今までの手技も文献的考察や経験などからその術式を行うきちんとした理由はあったのですが。


5年前に初めてTKAをしっかり勉強して執刀した当時から、安定した成績及び良好な可動域を残すためには、
『PSのモバイルしかないな~』
と、素人ながらの印象を持っていて、勉強や理解を進めてからもその考えは変わらなかったという事。
また、インプラントや手術機械の進歩により、手術手技が簡便になった事など、
いろんな要因が今回の決定には絡んでいます。


このように手術手技のモディファイをするという話を一般の友達にすると、
『じゃぁ3年前、お前にOpeされた人はかわいそうだな』
と、言われることもあります。

確かに、そういう部分は一切ないとは言えません。
その当時はこれが最高だ!と思ってやっていますし、そう思えるだけの理論武装もしてはいるのですが、
今になって思うと未熟だったり、短絡的だったりすることもありますなぁ。

でも、この仕事をやっている以上、治療が常に進化し続ける事は当たり前だし、
逆に何年も全く同じ手技や考え方で止まっている事の方が少ないと思います。
手術を見たり、学会発表を聞いたり、論文を読んで今までの手技に変更を加える事は、ままあります。


ただ、そういった変更を行うに当たっては、今までやった症例に対する結果の充分な検証と、
新たな知識に対しての十分な理解や、懐疑的な検討と言うものをしっかりと行う必要があります。
そういった学術的、医師道的な責任を果たしたうえでの変更は、(僕としては)ありだと思っています。
新しい考えや術式における本質を良く理解せず、自分の行った治療に対して何の検証もせず、
ただただ流行に遅れないために何かを代えているというのであれば、大問題かもしれませんが。。。


でも、今日の記事に書いた内容って、別に手術のモディファイだけに当てはまる事じゃなくて、
医者として治療に取り組む姿勢における基本事項なんじゃないか、って思います。

うん。
間違いなく、そう思います。

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