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大野病院事件について思う [病院&医者の話]

今回の判例は、
医師がベストと判断した手技において結果として患者さんに不利益があった場合、
その結果に対する刑事責任は問われるのか!?という事であり、
それに対する判決は、
標準レベルの医療行為を行っていれば、その結果責任は罪にはならないというものでした。

医師としての立場から言わせて頂ければ、妥当だと思います。
こういった事で有罪になってしまうのであれば、
例えば手術をする方が良いケースでも、リスクがあることを考えると消極的な治療を選択し、
結果として治療成績が落ちるというケースが増えていく事でしょう。

この事件をきっかけに産科が減少したり、積極的な医療行為がしにくくなったというのも事実です。
あの事件以来、
「迷った時には、治療効果はともかく、よりリスクの少ない手技を選ぶ傾向にある」
という医師が増えているように思います。
これでは医師も患者さんも、全くメリットがありません。。。

ただ、この事件をきっかけとして
①患者さんにはどんな治療にもリスクがあるという事を理解して、治療を受けてもらう
②医師は、そのリスクをきちんと説明し、理解してもらわなくてはならない。
③問題が起きたときには、医師の行った行為の妥当性はきちんと評価されなくてはいけない。
というような事が提示され、皆さんの関心事になった事は良い事であると思います。

出産や帝王切開というのは、かなりのリスクを伴うものです。
少しでも産科の勉強をしたことのある人間なら、
「人生で一番危険な瞬間は、生まれてくる時だ」
とすら考えてしまうのですが、
近年、産科領域の医学の進歩は目覚しく、出産における危険はかなり改善されたが為に、
「安全に生まれてきて当たり前」
という意識が患者さんの側にあり、産科領域での訴訟が増えているということは否めません。

逆に医師としても、適切な医療行為をした上での不可抗力の結果に対しては責任を問われないが、
調査の結果、治療が不適切であればそれに対する責任をきちんと負わなくてはならない
というのが、健全な医療現場というものでしょう。

果たして自分が患者さんを満足させるだけの仕事ができているのかは、僕には分かりません。
それは患者さんにしか評価できない事ですから。
ただ、どんな仕事であっても、常に自分の能力を高める努力を続けることが
その職に携わる人間の義務であると思いますし、それが患者さんの満足につながると信じています。

って、書くのは簡単だけど、実践するのは、ね・・・
まずは毎日の診察・手術・勉強を、しっかり頑張ります。

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