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ACL損傷放置例でのスポーツ活動 [膝前十字靭帯(ACL)損傷]

さて、今年のスキーシーズンも前半戦の山場、全中&IHが終了しました。
IHの女子SLは延期云々で大変だったみたいですね"(^_^;)"


今日は久々にACLの話。
今年もシーズン序盤にも関らず、残念ながら何人かの選手がACL断裂の怪我を負ってしまいました。
しかしそのうち一人はACLが断裂したままレースに復帰し、それなりのリザルトを残しています。
(1月20日に受傷し、2週間後の全中に出場しました)

本当は早期に再建をするべきであり、それまではスポーツ活動を禁じるのがベストなのですが、
最後の全中と言うこともあり、本人およびご両親のキッチリとした理解と同意の下に、少々無茶をしました。
きょうは、その症例に関して注意した点などを簡単に書いてみようと思います。


医者として許可した患者さんのバックグラウンドとしては、

①ACL単独損傷であり、半月板や軟骨、その他の靱帯損傷を合併していなかったこと
②ACL損傷後3日目で可動域制限がなくなり、筋力的にも健側の80%以上が出せていたこと
③Single Leg Hop TestやSide stepなどの負荷において、痛みがないこと

でした。


もちろん、以下の内容を患者さんと家族に説明し、理解してもらいました。

・パフォーマンスは落ちる(満足度として70~80%くらい)
・スポーツ時には必ずACL硬性装具を着用する
・運動した結果、半月板や軟骨に合併損傷をきたす可能性がある
・痛みや膝の腫れが強い日は、絶対にスポーツ活動を休止する
・全中が終わったら、すぐに再建手術を受ける
                            
結果、幸いにも大きなトラブルはなく、成績もそれなりのリザルトを残してくれました。
近々に再建の予定になっています。


自分の印象では、インターハイ、インカレ一部レベルに参加するだけでいいのなら、
ACLは切れたままでもなんとか“ある程度”のパフォーマンスは出せるように思います。
ただ、それらの大会で入賞を争うレベル以上であったり、インターナショナルレベルになると、
それらの試合の中で“戦う”のは難しい気がします。


そういったことも考慮に入れて、ACLの再建時期を決定している今日この頃です。
もちろん先延ばしといっても限度があり、必ず半年以内には再建という話はしていますが。
文献上は3ヶ月以上放置すると合併損傷のリスクが高まるという報告もありますし。
今回が『たまたま』うまくいっただけかも知れませんしね。


ただ、自分の子供なら・・・
よほどの事情がない限りは、できれば無理させないで再建するかなぁ・・・
でも、子供がどうしてもやりたいと言ったら、やらせちゃうかなぁ・・・

非常に悩むところです。
6:4で無理させない方を選ぶというところでしょうか(笑)


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コメント 2

きこ

はじめまして。お忙しいところ、すみませんが、質問させて下さい。
5年ぐらい前に半月板、3年ほど前にACL再建の手術をしたものです。
両手術としても同じ膝になります。
そんな中、最近はバスケ(装具なし)スノボ(装具あり)でスポーツ復帰もしていております。
自分としては、筋力もだいぶ付いてきていると思っていた矢先の今日。
膝が反対に曲がってしまいガクっとなって倒れそうになりました。
術後1年ぐらいしてから何度かこの症状がありましたが筋力がついたと思っていたのにも関わらず、またなってしまいました。
元々、酷い過伸展でした。
しかし、事故で半月板を損傷する前は膝の怪我損傷をしたことは1度もありませんでした。
しかし、今では損傷した膝のみ、油断すると膝が逆に曲がって転けそうになり、そのGによりしばらく痛みます。
このような症状の場合は、どのように対処すればいいのでしょうか?
術後、環境が変わり、なかなか担当のいる病院に行けなくなってしまいまして困っている状態です。
もし宜しかったらアドバイス頂けると救われます。゚(PД`q。)゚。
宜しくお願い致します(*・ω・)*_ _))ペコリン。
by きこ (2012-06-08 13:37) 

simimasa

⇒きこさま


過伸展のある膝関節の場合、術後のそういったアクシデントや症状が出る事がありますよね。
再建後に大きな外傷がなければ再断裂の可能性は低いと思うのですが、
過伸展膝の場合、再建靭帯を通した骨孔の位置によっては、
自然に再建靭帯が伸びたり、再断裂してしまうケースもあるようです。
また、もともと体が柔らかい人と言うのは、移植腱も粘弾性が高い(≒移植腱が伸びやすい)
ために、再建後外傷がなくても膝関節の過伸展傾向が出やすいという報告もございます。
ですので、症状が続くようでしたら、整形外科受診をお勧めいたします。


あとは、筋力測定をして本当に筋力の問題なのか、それともそれ以外の問題が隠れているのか、
というのをキッチリと調べる方が良いですね。
膝過伸展の場合、外側半月板の前方に損傷が隠れている場合もあります。
個人的には『筋力の問題!』と他の病院で言われ続けていて、実際に診察したら、
再建手術の方法に問題があったり、半月板損傷が起きていたケースも時折診ますので…

by simimasa (2012-06-10 23:42) 

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