SSブログ

再損傷および対側損傷に対する取り組み [膝前十字靭帯(ACL)損傷]

ACL再建手術を本格的に始めて、6年目になりました。
そろそろ客観的なデータに基づいた個人的な意見を言えるくらいの数となったかな?と。
今日のテーマは表題のとおり、再断裂と対側損傷の問題。
再断裂は再建靭帯がまた断裂する事で、対側損傷とは再建した側と逆側のACLを切ってしまうことデス。


211件のACL初回再建患者の経過を追っていくと、今のところ再断裂は7人、対側断裂は11人です。
この数字は客観的には極端に多いという訳ではないと思うのですが・・・
11/211という確率を多いとみるか、少ないとみるかはいろいろな意見があるとは思います。
ただ、個人的にはスポーツレベルの高い選手やスキー選手が多いと言うことを差し引いても、
対側断裂の確率をもう少し下げたいという気持ちがあります。


中でも、患側手術復帰後2年以内での対側損傷が8人もいるということに関しては、
医療者側の競技復帰マネジメントにもう少し改善の余地があるのかな、とも考えてしまいます。
再建靭帯が(色々な発表に比べても)靭帯の安定性や筋力に劣っていると言うことはなさそうなので、
それ以外の要素を改善していけば、もう少し減らせるのではないかな?と。

・再建術後の膝関節を中心とした下肢アジリティ能力の改善
・膝関節プロプリオセプション(関節固有覚)の改善
・体幹筋力および股関節周囲筋、ハムストリング強化による姿勢保持能力の改善

などの術後リハビリテーションの工夫によって、もう少し対側損傷の予防をしたいところですね。
逆に、上記の要素を個人で改善させる努力をすることで、
再断裂や対側損傷のリスクを減らせる可能性がある!・・・と、個人的には仮説を立てています。


現在、VICONという動作解析機器を用いて、そのあたりの課題についてのデータを取っております。
そのうち、皆さんに発表できると良いのですが"(^_^;)"
nice!(0)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:スポーツ

nice! 0

コメント 6

また

先生のACL話はとても分かりやすく
勉強になります。
私は1ヶ月前にACLの再再建をやったものです。そこで質問が2点あります。
①、術後4週〜8週で移植した靭帯が
壊死し、もっとも弱くなる期間との事をweb等で見たことがありますが、僕は術後2週間まで90°、30°の角度制限をされ、3週目からは角度制限がフリーになりました。30°がACLにストレスが掛かりにくい角度と聞きました。なぜ
ACLが壊死から徐々に強くなる期間まで30°を維持しないのでしょうか?矛盾を感じるのですが。
②、この間、雨が降っている時、道で
手術をした足を軸に滑ってしまいました。再建すぐのACLが損傷した場合でも内出血をするのでしょうか?
長くなりましたが、教えて下さい。
by また (2013-10-21 22:02) 

simimasa

コメント拝見いたしました。
30度の固定につきましては、靭帯の安定性だけを考えるとその角度で固定し、荷重をかけないということがバイオメカニクスの観点からストレスを少なくするためには最良と考えられています。その反面、固定を継続することで関節の拘縮(可動域制限)が起き、周囲の筋力が低下し、軟骨の変性が進むなどのマイナス面がありますので、それらが起きないギリギリの期間ということで2〜3週という時点で積極的なリハビリテーションを開始する施設が多いのではないかと考えます。
また、再建後早期の再損傷については自験例での経験はありませんので、正確にはお答えできません。ただ、装具やギプスシーネを着用しているのであれば、再建靭帯に過度のストレスが掛かるようなことは(エピソードを拝見した限りでは)考えにくいのではないでしょうか?

簡単ではございますが、質問に対するお返事とさせて頂きます。遅くなってしまい申し訳ございません。
by simimasa (2013-10-24 14:17) 

また

またもや
分かりやすい説明、ありがとうございました。
by また (2013-10-24 17:30) 

なの

先生、初めまして。
先日バスケ中に、2年前にACL再建した膝を捻ってしまいました。受傷時、これは再断裂…っと思いました。前回、切った時よりもひどく捻り、ガクッともきたので。
翌日、病院へいきましたが、靭帯は切れていないとの診断でした。外側半月板損傷と言われました。MRIは撮っていません。
血が溜まっていましたが、ACLの断裂ではもっと血が溜まると先生は言ってましたが、私は不安です。
前回の時は、同じくらいの血の溜まり具合で靭帯断裂だったので、本当に今回は半月板だけなのか不安です。
診てもらった先生がおっしゃる通り、半月板損傷のみとACL損傷と、関節内血腫で違いってありますか?
by なの (2016-06-08 22:13) 

simimasa

ACL損傷の時には、半月板損傷よりも出血が多いというのは、そのとおりですね。ただ、再建ACLが断裂した時には、もともとのACLが断裂した時に比べて、出血は少ない傾向にあります。
ご自身が不安に感じられるようであれば、担当の先生にもう一度ご相談されてはいかがでしょうか。
by simimasa (2016-06-12 09:04) 

なの

先生、お返事ありがとうございます。
本日、病院でMRIを撮りました。
結果、ACL再断裂という事でした…。
まずは現実を受け入れらければいけません。辛いです。
by なの (2016-06-13 17:00) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。