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肉離れは難しい! [整形外科&スポーツ医科学]

スポーツ整形外科医をやるにあたって一番難しいケガと考えているものの1つに、
「肉離れ(筋損傷)」
があります。
僕自身もチームドクター人生の中で一番悩み、苦しみ、復帰を喜んだ外傷かもしれませんね。
個人的に肉離れをそこまでケアする理由というのは…以下の4つになります

・エコーやMRIの検査結果を正確に診断するにあたり、解剖学的な理解が必須であること
・重症度評価には損傷や出血程度に加え、部位(筋腱移行部、付着部、実質部)の考慮が必要なこと
・復帰段階において、臨床症状と画像所見を逐一チェックしなくてはいけないこと
・再発が多いこと


こういったことを体系的に記載している教科書は、(和文では)殆どありません。
僕自身も肉離れの臨床に対する知識は、学会や研究会、講演などで身につけたりしたのですが、
サッカーや陸上のハイレベルアスリートを診るようになるまで、あまり深く勉強していませんでした。
なぜなら、一般人の肉離れというのは程度がそれほど重症ではないことが多く、
十分な安静と、適切な段階を踏んだリハビリテーションさえ行っていれば、
特に難渋することなく日常生活や重労働に復帰できる事がほとんどで、苦労した経験がないのです。


ただ、肉離れの本質はただの筋損傷ではありません。
実は、殆どが筋膜や筋腱移行部、筋付着部といった組織の損傷なんです。
また、その重症度判定やスポーツ復帰の動作許可には、様々なチェック項目があり、
これは整形外科医の間でも、意外と知られていないことが多かったりします。
最近、そのあたりをわかりやすくまとめている雑誌が発刊されていますので、
ご紹介させて頂きます。



臨床スポーツ医学 2017年 08 月号 [雑誌]

臨床スポーツ医学 2017年 08 月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 文光堂
  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: 雑誌




あと、意外とMRIのAxial viewは部位によって見え方が異なり、解剖学的な理解が難しいです。
全ての断面をシームレスに表示できるソフトなども売っていますが、値段が高い!
そこで、こんなサイトをご紹介しておきます。
⇒ http://www.anatomyatlases.org/HumanAnatomy/CrossSectionAtlas.shtml
解剖図のサイトにはなりますが、無料で閲覧できるのがまずありがたい。
それに加え、断面がかなり密に(下肢だけで30枚弱!)切られているので、かなり有用です。
MRI読影だけでなく、解剖の理解にも役立ってくれるはずですよ。


若手で、スポーツに興味のある整形外科のドクターには、必ず読んで欲しい特集&HPです!


ちなみに、前述の雑誌におけるまえがきでは、某先生が
「8月の世界陸上では参加するすべての選手が肉離れを起こさず、記録を更新する姿を…」
と、ボルトに対する壮大なフラグを立てていたことを書き添えておきます(笑)



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